エンジニアの分際

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たこつぼ(2)

SONY 平井改革の1500日

SONY 平井改革の1500日

第2次平井体制のもとソニーは再生の兆しを見せる。 エレ5分野5年ぶりの黒字はソニーブランド復活の証か

第2次平井体制

2015年4月の第2次平井チームはまさに異見を言えるメンバーを集めたと強調する。

平井が掲げる「ワンソニー」の理想の体制に近づけた。

改革の主要メンバーは、ゲーム、ネットワーク、モバイル分野から1人づつ、エレキ事業より技術系1人。

技術系が経営の中枢に入るのは久しぶりのことだった。

問題はすでに割とはっきりしていた。エレキの再生しかないと私は思っていた。

改革の基本方針

  • 各事業で一律に規模は追わず、利益率を重視する経営を目指す
  • 各事業ユニットが自立し、株主視点を重視した経営を行うこと
  • 各事業について、今後3年間の事業ポートフォリオ上の位置づけを明確化し、その位置づけから経営資源の投下のメリハリを決定する。ソニーグループ全体としては、ROEを最も重視する経営指標に改める。

日立製作所の改革の焦点と類似する点は事業の自立(分社化、完全子会社化)。これが、いわゆる The Silo Effect へのひとつの答えとも思える。

分社と団結の両立

これまでの経営トップが掲げてきた方針とは正反対に映る。平井の前任であるハワード・ストリンガーは事業間の縦割りの壁を「サイロ」と呼び、これを打ち壊そうと、「ソニーユナイテッド(団結)」を繰り返し叫んだ。

昔はソニーの工場は閉鎖的でした。事業部との結びつきが強く、商品のための工場だった。工場間で競い合い、話し合うことは少なかった。

ポイントはグループ各社で担当事業を遂行する立場であっても、「ソニー株式会社」の執行役員である点だ。分社化した子会社のトップに、個別最適に走るのではなく、全体最適の発想をより強くもたせる。

カギは分社化された子会社の経営者が横とつながる姿勢をもつことと指摘。現場の連携を強められるかどうかが、分社の最大の課題だと話す。

インターナルネゴシエーションからエクスターナルアカウンタビリティーを重視しよう。つまり、社内倫理を優先する意識を改め、外部への説明責任、資本市場の信頼を得ることを重視しようと呼びかけたのだ。

成長牽引分野 デバイス分野 ゲーム&ネットワークサービス分野 映画分野 音楽分野

安定収益分野 イメージング・プロダクツ&ソリューション分野 ビデオ&サウンド事業

事業変動リスクコントロール領域 テレビ事業 モバイル・コミュニケーション分野

唯一、全部をつなげるのは「感動」だ。お客様にこれはすばらしい、かっこいい、これは欲しい、と思ってもらえる。そして役に立つ。これがひとつの軸で、すべてのビジネスにつながっている。

事業には仕込みが必要だ。それも3年で成果が出るものもあれば、10年かかるものもある。自分の在任期間で成果を出せるか否かにこだわってはだめだ。自分の在任期間に結果が出ないことにもがんばって取り組もう。

社風(社長風)

まずは創業者の井深大の「設立趣意書」の基本である創造と挑戦の理念に戻ろうと呼びかけた。

「いたずらに規模を追わず」 「技術界の多くの知己関係と我が社の特徴を最高度に活用」

など趣意書を今の時代に合わせてどう腹に落とすかを議論した。

改革時の団結に創業者(ソニーの井深大、日立の小平浪平、アップルのスティーブ・ジョブズ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグなど)の理念が寄与する割合は想像以上に大きのかもしれない。

規模の大なるを追わず

黒字の時代に売り上げはずっと平坦だった 赤字を境にテレビ事業の売り上げが伸び始めた

利益は単なる規模の拡大に依存するのではなく、イノベーションにより新しい価値の創造により確保するべきだ。

「規模の大なるを追わず」

このキーワードは今ではテレビにとどまらず、ソニーのエレキ事業全体の改革の合い言葉となっている。

顧客とのつながり、感性に訴える

今までのスペック重視のエレキではダメだ。感性に訴える商品やサービスこそ、あるべき姿」と語る。

シェアを追っていた時代は新規顧客の開拓に比重を置いていたが、高付加価値商品に絞る場合は、顧客とのつながりの深さが大切になっている。

消費者や顧客のソニーに対する期待感が昔に比べて弱くなっていると語る。

今後は消費者の心理なども加味してマーケティングを設計するエンジニアのような人材が必要になる。

イノベーションを興そうとしていたら、いつのまにか上司説得に変わっている。意思決定を即決にし、失敗には寛容であったほうがいい。例えば、管理職に一定の決裁権限があっても、失敗がペナルティーとみなされれば、人はリスクを取りたくはない。おもしろいことにチャレンジすること自体を評価軸に捉えるのもひとつの手だろう。

挑戦は評価されるというメッセージを示す。